このブログでは、
残業代請求について触れている裁判例を紹介しています(つづき)。
3 消滅時効の成否について
(一)原告の一か月分の賃金は翌月二五日に支払われていた(前記第二の二2)のであるから、平成七年四月分の賃金の支払時期は同年五月二五日ということになり、そうすると、平成七年四月分以前の賃金は平成七年四月分の賃金の支払日の翌日から起算して二年後である平成九年五月二五日の経過によって時効により消滅するところ、原告が本件訴訟を提起したのは同月三〇日であること、被告が平成七年一月から同年四月までの原告の時間外賃金債権について消滅時効を援用していることは当裁判所に顕著である。
(二)右(一)によれば、平成七年一月から同年四月までの原告の時間外賃金債権(金五万三六二〇円)は時効により消滅しているというべきである。
(三)これに対し、原告は、日給月給制になってから被告が時間外賃金を支払わなくなったことについて時間外賃金を支払うよう被告に求めていたから、被告が消滅時効を援用することは援用権の濫用として許されないと主張するが、日給月給制になってから被告が時間外賃金を支払わなくなったことについて原告から格別異議は出なかったのである(前記第三の一4)から、原告の主張はその前提を欠いており、その余の点について判断するまでもなく、原告の主張は採用できない。
4 結論
以上によれば、原告の時間外賃金の請求は平成七年五月から平成八年一〇月までの賃金の合計金一五万二五六九円及びこれに対する支払日の後であることが明らかな平成九年六月八日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。
三 争点3(賞与の未(ママ)払義務の有無)について
原告と被告が平成五年一一月初旬ころに原告の給料を月給制とすることを合意した際の話合いの内容(前記第三の一4)に照らせば、被告が原告との間で毎年七月と一二月に賞与として金四一万円を支払うことを合意したことを認めることはできない。
したがって、原告の未払賞与の請求は理由がない。
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