このブログでは、
残業代請求について触れている裁判例を紹介しています(つづき)。
五 争点5(休業手当相当分の支払義務)について
被告が原告の主張に係る日にち(前記第二の三5(一))に原告を稼働させなかったのは被告に仕事がなかったからである(前記第三の一6)というのであるから、被告が原告の主張に係る日にちについて賃金の支払義務を負うことはない。原告の休業手当相当分の金員の請求は理由がない。
六 争点6(昼勤を理由とする賃金の控除分の支払義務)について
原告と被告は平成八年一一月以降の日給月給制において昼間作業については一日当たり金一万八〇〇〇円、夜間作業については金二万円とすることを合意したのである(前記第三の一7)から、被告が原告に対し原告の主張に係る昼勤を理由とする賃金の控除分について支払義務を負うことはない。右の認定に反する陳述書(〈証拠略〉)及び本人尋問における原告の供述は採用できない。
したがって、原告の昼勤を理由とする賃金の控除分の請求は理由がない。
七 争点7(付加金の支払義務)について
1 被告は原告に対し時間外賃金として金一五万二五六九円の支払義務を負っているにもかかわらず、原告の賃金を日給月給制から月給制に切り替えたことを理由に時間外賃金を支払わないことにしたのである(前記第三の二4)から、当裁判所は時間外賃金については原告の請求を相当と認め、労働基準法一一四条により、被告に対し右の時間外賃金と同額の付加金の支払を命ずる。
2 これに対し、被告は原告に対し平成九年四月分の賃金一六万円の支払義務を負っているにもかかわらず、これを支払っていないが、原告の一か月の賃金は翌月の二五日払いであったこと(前記第二の二2)、原告は平成九年四月分の賃金の支払日である平成九年五月二五日より前の同月一二日に被告に退職届を提出して被告を退職していること、被告は退職届の提出を受けて原告を退職届を提出した日に退職したものとして取り扱うこととし、平成九年四月分の賃金を取りにくるよう求めたが、原告はこれに応じなかったこと(前記第三の一8)、以上の経緯に照らせば、平成九年四月分の賃金については付加金の支払を命ずる必要はないとするのが相当である。
したがって、当裁判所は、平成九年四月分の賃金については被告に対する付加金の支払を命じないこととする。
3 原告は付加金の支払について遅延損害金の支払を求めているが、付加金支払義務は、その支払を命ずる裁判所の判決の確定によって初めて発生するものであるから、右判決確定前においては、右付加金支払義務は存せず、したがって、これに対する遅延損害金も発生する余地はない。したがって、原告の付加金の請求のうち遅延損害金の支払を求める部分は失当である。
4 以上によれば、原告の付加金の請求は金一五万二五六九円の支払を求める限度で理由がある。
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