顧問弁護士(法律顧問)がよく問い合わせを受けるテーマをまとめます。
今日は、公益通報者保護法についてです。同法のポイントを以下に説明します。
法に違反し、公益通報者に対して解雇等の不利益な取扱いを行った場合であっても、事業者に対して刑罰や行政処分が課せられることはありません。同法は民事ルールを定めたものであり、公益通報者保護法違反を理由に事業者に対して刑罰や行政処分が課せられることはないのです。ただ、それとは別に、通報対象となる法令違反行為については、関係法令に基づき刑罰や行政処分が課せられることがあります。
職場の同僚等の私生活上の法令違反行為を通報した場合は、法の対象となりません。
「請負契約その他の契約に基づいて事業を行う場合」の「その他の契約」には、具体的には、継続的な物品納入契約や清掃など反復継続的に役務を提供する場合が該当します。
労働者が自ら行っている法令違反行為を通報した場合であっても、同法の保護の対象となりますので、公益通報を理由とした解雇等の不利益取扱いは禁止されます。しかし、それとは別に、通報者が行っている法令違反を理由とした不利益取扱いについて、事例ごとに判断されることになります。なお、刑事責任については、刑法上の自首等の要件を満たす場合には、刑の減軽等が認められることがあります。また、労働者が法令や内部規則に違反して、法令違反行為を証明する資料を取得した場合であっても、公益通報を理由とした解雇等の不利益取扱いは禁止されます。しかし、それとは別に、法令違反や内部規則違反を理由とした不利益取扱いについては、事例ごとに判断されることとなります。
公益通報した労働者を、就業規則違反(企業秘密の漏えい禁止)により懲戒処分することはできません。公益通報については、労働契約上負っている秘密保持義務が解除されるからです。
「信ずるに足りる相当の理由」とは、具体的には、例えば、通報の事実等について単なる伝聞等ではなく通報内容を裏付けると思われる内部資料等の証拠を有する場合など相当の根拠を有する場合のことです。
行政機関以外の「その他の事業者外部」の者が公益通報を受けた場合の対応について、法律上の規定はありません。なお、一般的に公益通報は、事業者の社会的信用や営業秘密、公益通報者の個人情報等に関係することから、それらに十分配慮して対応することが望まれます。
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