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労務問題(残業代請求、サービス残業など)を中心に扱う顧問弁護士(法律顧問)によるメモ
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このブログでは、残業代請求についての裁判例を紹介しています。

第二 事案の概要
一 本件は、被告に雇われていた原告が、被告に対し、時間外割増賃金(残業代)二七三万二九八五円、賞与金六二万円、年次有給休暇相当分金五四万円、休業手当相当分金二一万六〇〇〇円、平成九年四月の賃金一六万円、昼勤を理由に賃金を控除した分二万五〇〇〇円がそれぞれ未払であった(ただし、後記第二の二3のとおり平成九年四月分の賃金一六万円が未払であることは当事者間に争いがない。)として、これらの合計四二九万三九八五円及び付加金三四八万八九八五円の総計金七七八万二九七〇円並びに内金七一二万二八二四円に対する訴状送達の日の翌日である平成九年六月八日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金及び内金六六万〇一四六円(時間外割増賃金(残業代)及び付加金の請求の拡張分)に対する訴えの変更申立書の送達の日の翌日である平成一〇年七月三日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
二 前提となる事実
1 原告は平成四年五月被告に雇用され、平成九年五月被告を退職した。被告は上下水道管工事の設計、施行及び請負などを業とする会社であるが、原告が従事していた業務は東京都水道局が発注する水道本管埋設工事及びこれに付随する工事であり、必然的に深夜にわたる工事となることが多かった(争いがない。)。
2 原告の賃金は被告に雇用されてからは日給月給制であったが、平成五年一二月から平成八年一〇月までは月給制となり、同年一一月以降再び日給月給制となっている。月給制における原告の賃金は一か月当たり金四一万円、平成八年一一月以降の日給月給制における原告の賃金は午後八時から翌日の午前五時までの勤務については一日当たり金二万円とされていた。原告の一か月の賃金は翌月の二五日払いであった(月給制の開始が平成五年一二月からであることは〈証拠略〉、原告本人。その余は争いがない。)。
3 原告は平成九年四月一日ないし三日、同月七日、同月八日、同月一〇日、同月一一日及び同月二四日は被告で就労したにもかかわらず、被告はこれらの賃金の合計金一六万円を支払っていない(争いがない。)。
4 原告は被告に対し、本件訴状により時間外割増賃金(残業代)二四〇万二九一二円、賞与金六二万円、年次有給休暇相当分金五四万円、休業手当相当分金二一万六〇〇〇円、平成九年四月の賃金一六万円、昼勤を理由に賃金を控除した分二万五〇〇〇円の合計金三九六万三九一二円及び付加金三一五万八九一二円、総計金七一二万二八二四円並びにこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求め、訴えの変更申立書により時間外割増賃金(残業代)二七三万二九八五円、賞与金六二万円、年次有給休暇相当分金五四万円、休業手当相当分金二一万六〇〇〇円、平成九年四月の賃金一六万円、昼勤を理由に賃金を控除した分二万五〇〇〇円の合計四二九万三九八五円及び付加金三四八万八九八五円の総計金七七八万二九七〇円並びに内金七一二万二八二四円に対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金及び内金六六万〇一四六円(時間外割増賃金(残業代)及び付加金の請求の拡張分)に対する訴えの変更申立書の送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求めた。本件訴状は平成九年六月七日に送達され、訴え変更の申立書は平成一〇年七月二日に送達された(当裁判所に顕著である。)。
三 争点
1 時間外割増賃金(残業代)の未払の有無について
(一)原告の主張 金二七三万二九八五円
(1)原告は被告で就労中に別紙時間外割増賃金(残業代)未払金額一覧と題する書面に記載したとおり時間外労働(残業)をしたが、これについての賃金が支払われていない。
 なお、別紙時間外割増賃金(残業代)未払金額一覧と題する書面に記載した労働時間には通勤時間が含まれているが、通勤時間とは、被告で就労する従業員は全員毎日寮からバスに乗って資材置場(埼玉県八潮市所在の被告の元請け会社である勝村建設株式会社の資材置場)に寄って当日必要な材料、保安器、必要車両などをそろえて作業現場に行くまでの時間及び帰りに右の資材置場に寄って後片付けを行ったりした後帰寮するまでの時間をいい、これらの時間が労働時間であることは明らかであるから、この通勤時間についても賃金を支払うべきである。また、原告は被告で就労中に毎日食事や休憩のための時間を一時間ずつ与えられたことはなかった。
 また、原告が被告との間で原告の賃金を月給制とすることを合意した際(後記第二の三3(一))に時間外割増賃金(残業代)を支払うことを確認している。
(2)日給月給制における原告の賃金は昼夜の別なく一日当たり金二万円であるから、日給月給制における原告の一時間当たりの賃金は一日当たりの賃金二万円を所定労働時間数八時間で除した金二五〇〇円である。
 月給制における原告の賃金は金四一万円であるが、被告の就業規則では従業員の休日は第一、第三日曜日又は雨天等により野外作業が困難な場合と定められていて労働基準法施行規則一九条一項四号に規定する「月における所定労働時間数」を計算することができないので、同号に規定する「月によって所定労働時間数が異なる場合」に当たるとして「一年間における一月平均所定労働時間数」により計算する。そして、被告の営む事業は労働基準法八条三号に該当するから、被告で就労する従業員の一週間の労働時間は労働基準法(平成五年法律第七九号による改正後のもの)附則一三一条一項により四四時間となり、一年間を三六五日としてこれを七日で割って得られた一年間における週の数に四四時間を乗じ、これを一二か月で除すと、一か月当たりの所定労働時間数一九一時間(一時間未満切捨て)が得られる。原告の一か月当たりの賃金四一万円を右の一九一時間で除して得られた金二一四七円が原告の一か月当たりの賃金であるから、これを二割五分増しした金二六八四円が原告の一時間当たりの時間外労働(残業)の賃金である。
(3)割増賃金(残業代)の計算において時間外労働(残業)時間数に三〇分未満の端数がある場合にはこれを切り捨て、三〇分以上の端数がある場合にはこれを一時間に切り上げることとされている(昭和二二年一一月二一日基発第三六六号、昭和三三年二月一三日基発第九〇号、平成六年三月三一日基発第一八一号)から、これに従って未払の原告の時間外割増賃金(残業代)を計算すると、その合計は金二七三万二九八五円となる。
(二)被告の主張
 被告には原告の主張に係る勤務時間が正しいかどうかはわからないが、被告の行う工事は道路使用を規制する態様で行われるものであるから、所轄警察署の許可を要するところ、工事を行う場所をバスが通る場合には最終バスの通過時間以後にしか許可はされないから,通常、工事は最終バスの通過時間後の午後一〇時半ころから開始されることが多く、原告の主張するような午後六時ないし七時ころから勤務時間が始まることはなかった。仮に原告の主張に係る勤務時間が正しいとしても、原告の主張に係る勤務時間には通勤時間平均一時間、休憩時間一時間が含まれているから、その分を控除すべきである。通勤に使用していたバスは二台あり、原告が乗っているバスは大半は直接帰寮しており、帰りも資材置き場によって後片付けをしてから帰寮していたわけではない。そして、通勤時間と休憩時間を控除をした場合の原告の時間外割増賃金(残業代)は、(証拠略)によると、金五五万四七二二円である。
 なお、原告が被告との間で原告の賃金を月給制とすることを合意した際(後記第の二の三3(二))に時間外割増賃金(残業代)を支払わないことを確認している。 


企業の方で、残業代請求についてご不明な点があれば、契約している顧問弁護士にご確認ください。そのほか、個人の方で、不当解雇保険会社との交通事故の示談交渉敷金返還請求・原状回復多重債務(借金)の返済遺言・相続の問題家族の逮捕などの刑事事件などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。

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