本ブログでは、
残業代請求について触れている裁判例を紹介しています(つづき)。
2 消滅時効の成否について
(一)被告の主張
被告は平成七年一月九日から同年四月二七日までの時間外割増賃金(残業代)については消滅時効を援用する。
(二)原告の主張
原告は月給制となったことによって時間外割増賃金(残業代)が支払われなくなったことについて被告(佐藤修及び経理担当の桑原美代子)に対し時間外割増賃金(残業代)を支払うよう求めていたのであり、被告が平成七年一月九日から同年四月二七日までの時間外割増賃金(残業代)について消滅時効を援用することは援用権の濫用として許されない。
3 賞与の未(ママ)払義務の有無について
(一)原告の主張 金六二万円
原告は平成五年一一月初旬ころ被告代表者との間で原告の賃金を月給制とすることを合意し、その翌日被告代表者の息子で被告の専務取締役である佐藤修との間で月給制の具体的な内容について話し合い、原告の賃金は原告の従前の一年間の収入である約金六〇〇万円を下回らない金額とすること、具体的には一か月の賃金を金四一万円、毎年七月と一二月に賞与として金四一万円及び残業代を支払うことを合意した。ところが、被告は平成八年七月及び同年一二月の賞与としてそれぞれ金一〇万円ずつしか支払わず、合計金六二万円が未払である。
(二)被告の主張
原告は平成五年一一月初旬ころ被告代表者との間で原告の賃金を月給制とすることを合意し、その翌日佐藤修との間で月給制の具体的な内容について話し合い、その結果原告の月給を金四一万円とすることを合意したが、賞与として毎年七月と一二月にそれぞれ金四一万円ずつ支払うという合意はしていない。賞与については被告の景気により変動すると述べている。
4 年次有給休暇相当分の支払義務の有無について
(一)原告の主張 金五四万円
原告は平成九年一月八日佐藤修に対し病気療養のために一か月に二日ないし三日有給扱いで休ませてほしいと申入れてその了承を得たので、原告は現場監督らと相談して作業に支障がない同年一月一三日と同月二七日を休むこととし、同年二月一八日に念のため被告の経理担当者に同趣旨を記載したメモを渡して右の二日を有給休暇扱いにするよう話したところ、同年二月二五日に支給された同年一月分の賃金では同年一月一三日及び同月二七日が欠勤扱いとされていたので、原告が佐藤修に対し欠勤扱いとされていることを質したところ、佐藤修は「そんな話は聞いていない。うちの会社では有給休暇は出さない。」と答えて前言を翻した。原告は同年二月一〇日、同月二〇日及び同年三月一七日に被告に対し通院のため有給休暇を申し出て休んだにもかかわらず、被告は原告の有給休暇の申請を一切認めなかったばかりか、同月二五日には佐藤修が「有給休暇を出さないのなら労働基準監督局(ママ)へ行くと言っているそうだが、行くなら行け。」と怒鳴って帰っていった。原告は同年五月六日佐藤修に対し通院の必要があるので長期の有給休暇を認めるよう求めたが、佐藤修は「一か月以上の休暇(有給ではない。)は認めない。それ以上だと退職してもらう。」と言うので、原告は同月一二日被告を退職した。その際原告は労働基準法に基づき二週間は有給休暇とし、その翌日を退職として扱うように経理担当者に申し入れた。
以上のような次第で原告は有給休暇を申請したにもかかわらず欠勤扱いとされ、原告に支払われるべき賃金が不当に減額された。そのうち退職前二年間の年次有給休暇二七日分に限り一日当たり金二万円として請求する。
(二)被告の主張
原告は仕事を休んで病院に行き、後からこれを有給休暇に切り替えてほしいと申し入れてきたことが一回だけあった。原告が退職届を提出したことは認める。
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